相手に「伝わる」話し方  池上 彰  レビュー

最近レギュラーを降板することが話題になっている。池上彰さんの本です。
池上彰本は多数でているので他の本に書かれていることと重なる箇所もあります。

池上彰さんは政治や経済の話は難しいものであるという常識を解体しいかに簡単につたえるのかを考えます。
本書冒頭では子供にパレスチナ問題を伝えたが「子供の喧嘩みたい」と誤解されてしまった。最初はパレスチナ問題を子供喧嘩と言ったことをたしなめたが、そこから池上さんは伝えられなかった自分を反省した。では子供たちにどのように伝えればよいのかを検討する。

むずかしい言葉をそのまま使うのは簡単。やさしい言葉に言い換えることが難しい。だけれどその言語の意味と文脈における意味、そして背景を知らなければ再現するいいかたにならない。全くその通りだと思います。

私は専門職で、専門職が使う専門用語を振りかざすことが格好良く、そして専門職らしいと思っていた。本当に恥ずかしいことで難しい言葉を覚え使うことに必死でそれもやっと難しく言えたことで満足で、その言葉を専門職以外の人に伝えるとき理解してもらえる言葉に置き換えることだとやっていなかった。
つまりは言葉そのものの理解が不十分だったということです。

この本のレビューをまとめようと思ったが予想以上に難しい。すでにまとまっているので
どこも削るところがないからです。どの章から読んでも大丈夫です。どこも役立ちます。
以下は自分が覚えておきたいトピックを箇条書にします。

池上彰さんは読者(看護師)から手紙をもらいます「情報を正しく、しかも相手の気持ちを損なわずに伝えるコツは何か」池上彰さん自身も頭を抱えました。なぜなら池上さん自身も日々悩んでいるからです。池上さんが自分の困ったことを披露し読者にヒントをそこから引っ張り上げてもらう試みです。

◯ニュースキャスターになり書き言葉と話し言葉の違いに悩む。長い原稿を読むには息が続かない。

◯第二章の「サツ回りで途方に暮れた」が自分の体験と重ね合わせとてもやくにたった。
池上さんが新人記者時代、松江警察署の担当になったが、先輩から引き継いだものの警察官に相手にされず情報をとれず途方にくれてしまう。研修の時に言われたのは「何か変わったことはありませんか?」という聞きかたはするな。ということ。これでは単なる御用聞きだし何も無いよ、と返答されれば会話が終わってしまう。でも池上さんは「何か変わったことはありませんか?」と思わず聞いてしまい、やはり「何も無いよ」と返される。

◯焦り立ち尽くし出社拒否症になる。私が昔メーカー勤めだったときに代理店をまわってもこんな感じでした。相手はかなり年上の強かな営業マン。しかもこの地域では有力な力を持った会社です。わざわざメーカーの新人担当者と話す理由もないのです。

◯池上さんはまさにセールスマンのやり方を見て自分の売り込み方を学びます。こいつは信用できそうだなと警察官に自分を理解してもらわなきゃ情報を離してもらえないのです。

◯仲良くなるひけつ「共通体験」出身大学が同じとか地元が同じとか共通することがあれば親しくなる。これはきっと自然に皆やってることかもしれませんね。

あとは営業マンが常々やっていることです。

◯相手との会話に方言を使うと共通基板に立ったような気持ちになれる。またその業界の隠語でしゃべる。焦って自分ばかり話さない。聞き上手になる。教えをこう。ケンカもチャンスはある。最後にやはり信頼

プレゼンの本に書いてあるように書き原稿をそのまま喋ってはだめ。「てにをは」を間違えると修復できない。話す内容を書いたメモを使って話す。

そして相手の身になって話す順番を考える。聞き手の聞きたい順序で話す。
そしてつかみから入る。聴衆におや?と思わせる言葉を入れます。そしてひきつけます。
手垢のついた表現はだめ。ありきたりだなと相手に思わせてはうんざりする。新鮮は表現は相手の胸をノックする・
専門用語、略語は用いるな。
「今のお気持ちは?」という聞き方はインタビューが出来ませんと言っているような物。また相手の感情を出させて泣かそう(怒らそう)と思っているのがみえみえ。
言葉にするだけが聞き方ではない。表情やジェスチャーなどの非言語的な聞き方もある。心がけるべき。

◯「第四章テレビスタジオでも考えた」はニュースキャスター時代の苦労、工夫が語られる。でも、私はテレビで話す機会なんてありっこないのでそれほど参考にならず。
こどもニュースが分かりやすく子どもだけではなく大人の視聴者も増えた。そこで気がついたことは視聴者が何を知らないのかということをTVを放送する側はなにも知らなかったということ。

こどもニュースで学んだ分かりやすくするための五ヶ条
? むずかしい言葉を分かりやすくかみ砕く
? 身近な例えに置き換える
? 抽象的な概念を図式化する
? 「分ける」ことは「分かる」こと
? バラバラの知識をつなぎ合わせる

まとめるこのが大変。でれも重要で削れない。
? はそのまま。?は国家予算とか耳慣れない想像しづづらいらい単位は身近な単位に置き換えると頭の中で整理しやすい。?は何でも絵に出来る。絵にして説明する。私は絵を書くの苦手だから無理。?は雑多な情報を並べたり大きく2つに分けるとかすると分かりやすくなる。?は池上さんの説明でもあまり腑におちなかった。

◯よく分りやすく話すにはゆっくり話しなさい1分間に300字から350字ぐらい。と言われているが池上さん自身はよく早口ですねと指摘され自分でも分かっていながら直せないそうだ。池上さんは間やリズムをとることを意識している。相手がコメントを差し込みやすいタイミングを与えることにより会話ははずむ。

◯お詫びするときは自分の話し言葉で謝る。「おわびします」という言い方は血が通っていない。

◯何かの発表の予定があったとき「どうしよう、どうしよう」と悩んでいても仕方ない。まずは「言葉にする」。「言葉にする」ことから自分でまとめるという行為に繋がるのです。

? まずは独りで頭の中であーでもないこーでもないとブレーンストーミング
? そしたら次に頭の中でまとめたことを他人に話しかけてみる。
その時に気をつけることは5W1Hをきちんと伝えること。抽象論は眠くなり具体論は相手が身を乗り出す。この原則を忘れない。

◯職場で同僚をしかるときにはどうすればいいのか

?その場で言う。?本人にだけ直接言う。?陰口にならないようにする。
◯あがるといいことも。

◯最後に看護師さんからもらった質問のことを考えた。患者さんがどう考えているのか何を望んでいるのか自問自答を続ければ周辺の医療とか支援の仕方を自分で学ぶのではないでしょうか。