母が半身マヒ 特別養護老人ホームで虐待 長男、慰謝料求め提訴−−札幌地裁

母が半身マヒ
 札幌市白石区の特別養護老人ホーム「ルミエール」の入所者虐待疑惑で、母親(88)が虐待され精神的苦痛を受けたとして、長男の会社役員(54)=同区在住=が4日、施設を運営する社会福祉法人「公和会」(長沼政幸理事長)に慰謝料200万円を求める訴訟を札幌地裁に起こした。
 訴えによると、母親は5月7日と6月10日の2回、施設のケアワーカーに頭を殴られ、歩きづらくなるなど体調を崩した。搬送先の病院が7月19日、母親を硬膜下血腫と診断し、1〜2カ月前に頭を打った可能性を指摘した。母親は2回の手術を受けたが、左半身マヒによる寝たきりの状態で現在も入院している。
 原告代理人の藤本明弁護士は「硬膜下血腫は暴行が原因。施設の現状をこのまま放置できないので提訴した」とコメント。一方、施設側は先月、「(母親は)パジャマのズボンのすそが絡まって転んだ」と虐待を否定する内部調査報告書を発表しており、提訴には「徹底して争う」と述べた。
 施設側は1日、虐待を内部告発した女性職員2人や北海道新聞社、札幌市に虐待の調査申し入れをした札幌地域労組(高桑史嘉委員長)など2法人・団体と4人を相手取り、慰謝料などを求める訴訟を提訴。市は「虐待や虐待と取られかねない不適切処遇があったと強く疑われる」との中間調査を公表している。【遠藤拓】(毎日新聞2004年10月5日北海道朝刊から)