北海道の介護老人福祉施設 特別養護老人ホーム ルミエールでおこった高齢者虐待。 その第一回口頭弁論での意見陳述

第一回口頭弁論での意見陳述
 
今回の裁判で、私は施設内部で解決できた事を故意に外に持ち出し、施設を陥れた様に言われています。しかし、ルミエールは私自身が三年以上勤務して来た職場です。職場の状況を「何とか良い方向へ!」という思いで行動してきました。私はでっちあげの情報で同僚を個人的に陥れたり、ましてやこの事が組合の闘争手段になる等とは思っても見ませんでした。
理事長や施設長が、もしも社会福祉法人が存在する意味や、そこで一番守られるべき利用者さんの人権に対して重く考えていたとしたら、本当に内部で解決できたことです。
私は共に働いてきた仲間の暴力行為を報告するまで、心の中で何度も葛藤を繰り返しました。しかし、それは職場内で、仲間との関係を守る為だけの自分に対しての言い訳であり、その時私の考えの中には、職員に日々叩かれている利用者さんの人権は全くありませんでした。そして、それまでの自分の考え方や施設の異常さに気付き、介護という仕事の責任の重さに気付きました。
考え抜いて行動した結果、私は仲間からは裏切り者と言われ、施設からはこうして告訴されました。施設長には「施設をつぶしたいのか」と言われました。私は今、施設長に言いたいです。「確かに、私は施設の事より利用者さんの事を一番に考えただけです」と。
今後、介護の現場で介護者が虐待の現場に直面した時に、誰もがためらわずに行動するためにも、そして勇気を出して立ち上がった内部告発者が施設全体から、私たちのような不利益な扱いを受けないためにも、裁判所が速やかに適確な判定を下すことをお願いします。
2004年12月20日 
多田めぐみ



 
第一回口頭弁論での意見陳述
 
私は今年の5月に施設長と話す機会があり、施設長の方からルミエール内での虐待について「実際あると思う・・」と、言われました。そこで初めて施設長が事実を把握している事を知りました。その場で私は改善を求めましたが、放置されました。適切な処置がなされなかったために、私たちは介護職員としての自らを見直すと共に、内部告発に至りました。
職場では、人員不足の中での業務の苛立ち、最低賃金での待遇による不満が弱いものへ向けられて、高齢者が不適切・不当な扱いを身体的だけではなく精神的にも受けてきました。
その痛みは、私たちが内部告発以降、施設長から受けた不利益や嫌がらせによる痛みより、ずっと痛かったはずです。札幌市の調査が入り、私達以外の職員も聞き取り調査で虐待はあったと認め証言していますが、この4ケ月内部の状態は変わらず、利用者が不安の中で生活している現状です。私たちは、事実をのべているにも関わらず告訴されました。この事を社会的に重大な問題として考えなかった施設長の自覚のなさに憤りを感じます。私は、この問題は国民一人一人が同じ方向へ向けて考えるべき問題だと強く深く思っています。一日でも早く利用者とそのご家族さまが安心して生活出来るように施設は基本的人権を守って下さい。
 
2004年12月20日 
 
坂本典子