宮沢賢治

宮沢賢治 化物丁場〔ばけものちやうば〕

五六日続いた雨の、やっとあがった朝でした。黄金〔きん〕の日光が、青い木や稲を、照してはゐましたが、空には、方角の決〔き〕 まらない雲がふらふら飛び、山脈も非常に近く見えて、なんだかまだほんたうに霽れたといふやうな気がしませんでした。 私は、…